当社偏光子の原理について

ガラス偏光子は偏光子内部に含有されている金属粒子の持つ「表面プラズモン吸収」と呼ばれる現象を利用しております。この金属粒子は、可視~近赤外域の光電場とプラズモンがカップリング(共鳴)することで光の吸収を発生させる働きがあります。偏光子に照射された光が持つ光のエネルギーがこの表面プラズモンで吸収されることにより、「偏光による光の制御」が可能となります。

偏光特性を得るためには、金属粒子が「楕円形状」になる必要があります。ただし、偏光子で使用する銀粒子はナノサイズ(1mmの1,000,000分の1)であるため、当社では金属粒子を含有しているガラスを物理的に引き伸ばすことによって、内部の金属粒子を引き伸ばしております。ガラスが軟らかくなり始める程度の温度までガラスを加熱し、ローラーを用いて物理的にガラスを引き伸ばすことにより、ガラスと含有金属粒子に摩擦が生じ、金属粒子は楕円の形状へと変形します。また、ガラスの引き伸ばし(延伸)は常に一定方向であるため、ガラス内部の金属粒子は図1のように規則的な方向に配列されます。

楕円形状の金属粒子は、全方向どちらから見ても同じ直径Aの球体とは異なり、長辺B短辺Cの長さを持ちます(図2)。この「1つの金属粒子でも、方向の違いによって吸収する波長が異なる」現象を利用して、ガラス偏光子はある特定の波長で偏光特性を発現します。

図3に偏光子の吸収特性例を示します。延伸前の金属粒子はAの吸収特性を示しておりましたが、延伸する事によってB特性とC特性に分かれ、波長600nm付近でB方向は吸収しますが、C方向は吸収しないことから、この偏光子は600nm付近で最も偏光することがわかります。