偏光子の種類

任意の光から直線偏光光を取り出す場合、ある一方向に振動する光と、それに直交した振動を持つ光を吸収・反射させる直線偏光子が用いられます。用途、特性に合わせて様々な直線偏光子を使い分ける必要があります。ここではいくつかの代表的な偏光子をご紹介します。

ワイヤーグリッドタイプ
ガラスの表面上に微細な金属のグリッド(スリット状)を形成する事によって、p偏光成分を透過し、s偏光成分を反射(一部吸収)することで偏光特性を得るものです。p偏光成分のロスが少なく、無機材料のみで構成されているために熱に強く、広帯域で性能を発揮するメリットがあります。
結晶タイプ
雲母や水晶などの結晶性材料を用いた偏光素子です。材料自体の持つ複屈折現象を利用し、偏光成分をコントロールすることが可能です。位相差のコントロールを行う際にも使用され、偏光面を180度回転させる1/2波長板や偏光面を90度回転させる1/4波長板も代表的な結晶タイプの偏光子です。
PBSタイプ
p偏光成分を透過し、s偏光成分を反射するよう設計された光学多層膜による偏光素子です。45度に傾けた状態で使われるのが一般的でPBS(PolarizingBeamSplitter)と呼ばれます。平板ガラス表面に多層膜を形成した「平板型PBS」や直角ガラスキューブで多層膜を挟み込んだ「ガラスキューブ型PBS」があります。平板型PBSは軽量・比較的安価などのメリットがあるのに対し、ガラスキューブ型PBSは透過光の屈折が無い、アライメントが容易などのメリットがあります。
グラントムソンプリズム
複屈折結晶である方解石(カルサイト)のプリズムを組み合わせて、一方方向の直線偏光成分を全反射によって除去する、高純度の直線偏光を得るための素子です。対応波長は350~2300nmと波長幅は広く、プリズムに接着剤を使用しないグランテイラータイプ(対応波長220~2300nm)などもあります。消光比は60dBと非常に高く、偏光性能の計測にも利用されます。
シートタイプ(樹脂偏光子)
シートタイプの偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素などの2色性色素を含浸させたフィルムを一定方向に引き伸ばすことによって作製し、様々なアプリケーションに利用されてます。大面積製造が可能なことから価格は比較的安価ですが、使用環境(使用温度、レーザー強度)に気をつけて使用する必要があります。
無機吸収型タイプ
素子内部で直線偏光光を作り出す素子です。当社ガラス偏光子もこのタイプに該当します。無機材料で構成されているため、耐熱性に優れ、キズや劣化などが発生いたしません。素子表面に反射防止膜やその他光学多層膜を蒸着することができるため、様々なアプリケーションにご利用いただけます。